【紡ぐ記事】石徹白の冬のご馳走
雪国である郡上には、様々な冬をのりこえるための様々な知恵があります。そのうちの一つが食文化。春も夏も秋も豊かな郡上ですが、冬も御節料理、にしんずし、ねずし、猟で仕留めた鹿肉などジビエ料理など、実に多様なご馳走があります。
今日はそんな冬のご馳走のひとつ、石徹白地区に伝わる伝説の!?「肉漬け」を紹介します。
「肉漬け」・・・聞いたことがあるでしょうか?大変珍しいことから、昨年、発酵食の研究者がいらしたのですが、”生の肉”の漬物は日本でもここにしかないとおっしゃられていました!それほど、稀なご馳走です。
石徹白には50年ほど前に韓国からおいでた出稼ぎ労働者から伝わり、それをみんなで教えあってきました。石徹白では冬になったらご近所さんと交換したり、いただいたりするだけでなく、これまでに「肉漬け、食べ比べの会」が開かれたりするほど広く普及しています。
私も、移住してきた7年前の冬に地元のおばあちゃんから教わって以来、毎年欠かさずに漬けています。これなしでは、石徹白の冬は越せない!というほど、私にとってのパワーフードになっています。
それなのに、なぜ他の地域にまで普及しないのでしょうか?
それは、レシピが門外不出だから!
(あーーーなるほど!)
というわけで、私も詳細なレシピはお伝えできないのですが、今年の漬けた様子を簡単にレポートします◎
肉漬けの主役はもちろんお肉ですが、漬物の大半は白菜です!もうすぐ凍みてくるかなーという勘がはたらくころ、いつもスーパーに箱買いしにいきます。移住前はこんなことするなんて思いもしなかったので、郡上らしい暮らしに一歩近づけたのかなと、嬉しくなる場面でもあります。笑
白菜を細かく切って、塩漬けに。樽もりもりの白菜も、しゅんと小さくなります。
そこに細かく切ったお肉を投入!伝わった当時に使われていたのは鶏肉だったそうですが、現在は家庭によって、牛肉を使ったり、豚肉を使ったりもしています。あとは、にんにくと唐辛子をお好みで。うちは毎年たっぷりいれたのが好きです!さて、これであとは重石をのせて2〜3週間、発酵するのを待ちます^^
今年は寒かったので、良い感じに漬かるのに1ヶ月ほどかかりました。「寒い年の方がおいしくできる」とよく言われるので、楽しみ〜。樽の周りはすでに、食欲をそそるにんにく臭がしていますよ。お皿に出したらこの通り!みてください、お肉がピンク色のままで可愛いんです!
これをフライパンで汁気がだいたい飛ぶくらい、じっくりと炒めたら食べごろです。乳酸菌の適度な酸っぱさが、病みつきになります!
吹雪が続き買い物にいけない日が続いても安心!ご飯を作る気力がない日も楽チン!冬には、樽の中に肉漬けがあるじゃない◎そういう、頼もしい漬物です。
どうですか?食べたくなってきましたか?
先ほどお伝えしたように、肉漬けはおそらく石徹白の外ではほとんどお目にかかることはないはずです。石徹白の民宿では、肉漬けを食べさせてもらえるところもありますので、冬に石徹白に起こしになる際はぜひお問い合わせてみてください◎