郡上藩WEB蔵屋敷 Vol.5-1

2021.03.03


紐解く「蔵開きのテーマ」


【WEB蔵深掘り編】
もっと教えて!高橋先生!!
〜郡上の精神文化とは?〜

日時:3月6日19:00より、YOUTUBEにてプレミアム配信。
■日時 2021年3月6日(土)19:00〜(1時間)
■主催 郡上市市長公室政策推進課

Vol.1 〜3はそれぞれ2時間、vol.4は1時間の配信だったのが、
明日はぎゅーっとまとめて1時間に!

どういう話やっけ?ということもあったかと思います。
もちろん全ては網羅できませんが、今年度の郡上藩WEB蔵屋敷のおいしい
一滴を味わっていただけたらと思います。



案内人:井上博斗の想い

収録終了後、私たちが、郡上藩江戸蔵屋敷を通して伝えていける郡上とは何か、という話になったとき、高橋先生は「それは環境としての自然ではなく、郡上人のもつ自然観なのではないか」とお話してくれました。その自然観は、白山信仰に象徴されている、と。. 祈りや信仰がどんなかたちで現在の郡上に伏流・底流しているのか。これからの江戸蔵の宿題をもらいながらも、まずは2020年のWEB蔵を振り返るこの1時間の番組で、郡上の見えざる精神文化について、おさらいしておきたいと思います!



2021.3.6 Vol.5-1 本編配信URL(プレミアム公開)


紡ぐ「蔵開きを振り返って」

私たちが江戸蔵を通して見ている地層と風景

WEB蔵深掘り編として配信された「もっと教えて!高橋先生‼︎」では、江戸時代における郡上の町・里・山に生きる庶民・百姓の動態が、まことに自在であることに圧倒された。それは、これまでWEB蔵vol.1から4で取材してきた、郡上おどりが展開する八幡城下町、郡上一揆の中心勢力となったとなった上之保筋(八幡以北の長良川筋をさす)の御百姓意識、拝殿踊りが続けられてきた郡上の村落共同体の娯楽と神事芸能、そして郡上の街道の中心地である六ノ里集落の現在を生きる人の多様な生き方を、シームレスにとらえなおす視座だった。

江戸と現代、あるいは町・里・山、城下町や繁華街、集落や住宅地、山や川という時空を切り離して考えるのでなく、相互に作用しあい、中世や江戸が今もそのまま続いている実相を再発見する視座である。

一つの法治国家であった幕藩体制の中で、自由に郡外から町や村に訪れる郷通商人(行商人)や遊芸人。また町に住みながら里で働く季節労働者のような流動性の高い人々がいる。一方で、里山それぞれの村落共同体のなかで家を継いできた百姓たちが、農作・蚕・お茶・林業・紙すき・狩猟などからなる多様な収穫物を町で換金・交換する動きがクロスしてゆく。それは今も変わらないではないか、という感覚がもしあるとすれば、それは郡上に営々と続く百姓的生き方なのだといえよう。

だが、専門・唯一職のみに頼る生き方や、居住と労働環境が切り離された現代の生き方には失われたものも多い。また、多様な遊びや余白が許容されていた場所であっても、時代の変化や近代化のなかで洗練されてしまったり、むしろ進んで取り除いた点も否めないだろう。

特筆すべきは、八幡城下町に旗本遠藤家三千石の屋敷、いわば官僚たちの住宅団地が広がる城下町に、専門職としての鍛冶屋、紺屋、酒屋、茶屋、塗師屋、髪結い屋、郷通商人の町家が並んでいただけでなく、えせ乞食や半端な芸人、風体の分からない者たちを受け入れる町家(空き家)のエリア、雑事町(ざっとまち)があったという指摘だろう。そこでは、彼らをその都度飲み込んで吐き出すポンプのような装置が働いていたのであり、現在の町づくりでも参考になる事例だと高橋先生は指摘する。盛り場や郡上おどりが生き生きとした動態や魅力をもつのは、こうした清濁合わせて飲み込んでは吐き出す拍動が欠かせないのだろう。

もちろんその激しく加速する流動性は、資本主義の好むところで、過度に産業化した里は、山が持っていた涵養機能を低下させ、川の水を減らし、そこに棲まう生き物たちのすみかや食べ物を奪っていることは周知の通りだ。そこで、現代では見えにくくなっているのは信仰心のありかである。

かつて自然に畏怖をもち、自然を貪ることのなかった人々は、家族や共同体なかでの人の生き死に、そのちっぽけな命のゆくえと信仰が結びついていた。現在、越前屋での若手猟師の企画展を見た高橋先生は、百姓たちを生かしめる生産手段の源である山の信仰に加え、動物の命を奪う猟師たちの心の呵責を特赦、許したのが「白山信仰」の一側面であったと指摘した。この意味を歴史学的に紐解く前に、私たちは現代を生きる若手猟師からたずねなおす必要があるだろう。

近代化と経済成長は、私たちにお金さえあれば飢えることははないという環境を、どこにいても食べ物と飲み物に困らない食品たちに取り囲まれる状況をもたらした。そのなかで、なぜ猟師は野生の動物を追いかけ、猟をし、食べられる肉にしているのか。それらをもう一度WEB蔵vol.5で問い直してみたい。もしかすると郡上に底流するネイティヴ・マインドが、山から生まれる精神文化が浮かび上がる機会となるかもしれない。そんな期待が膨らんだ「WEB蔵深堀り編」、高橋先生との座談だった。

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