郡上おどりと踊り下駄

郡上藩江戸蔵屋敷 vol.6 レポート


ダンスミュージックとしての郡上節

講師:國枝あつ 京都生まれ。ご主人の転勤を機に、2003年郡上に移住。八幡お囃子クラブで唄を練習中だがポジションは、なぜか踊り子。郡上八幡博覧館で観光客を魅了している。

盆踊りといえば多くの会場でCDなどの音源を使われることが多いですが、郡上おどりは毎晩ライブで行われます。会場の中心にやぐらが組まれ、その上でお囃子を行います。そこで奏でられる楽器の音と唄の声が揃えば、「音楽」としての郡上節は完成しますが、これだけでは「ダンスミュージック」としての郡上節は完成しません。それに必要なのが下駄の音なのです。

お囃子を担当する郡上おどり保存会。写真提供:GoodJob Lab

しかし、下駄で音を出すこと意識しすぎるのも良くない。というのは、郡上おどりはやぐらの上の声を聞いては応える、いわゆる「コール&レスポンス」によってみんなで音楽をつくっていくため、下駄の音の出し方によってはそのやりとりが聞こえなくなり、音楽としての完成度を下げてしまいかねないというわけです。

そうならないために、「今は足を出すのか、引くのか?」と足を踏まれないように、正しいステップで、確実なタイミングで音を出すことが大事です。自分はダンサーでありミュージシャンであると思って踊ってみてくださいね。

「皆さん方一人ひとりが「郡上節」という音楽を作っている重要な要素なんです。」(國枝さん)

縁日としての郡上おどり

1ヶ月以上にわたって開催される郡上おどり。そのうち4日間はいわゆる盆踊りにあたりますが、実はそれ以外のことを地元では「縁日おどり」と呼んでいます。つまり、郡上八幡のあちこちに祀られた神様や仏様、ご先祖様などと「ご縁を結ぶ日」というのが本来の目的なのです。地元の方々がその日の会場にお参りや奉納などにいらっしゃるのを見かけたことはないでしょうか?

街中に吊り下がっているキリコ灯籠。神仏や祖霊の依代。邪気を払うともいわれている。

輪になることで、神様も仏様も、目に見えてる人たちも見えてないものたちも一緒に踊るのです。講師のあつさんは続けてこう言います。「皆様、神社行ったら手を叩きますね。「私はここにいるよ」と、神様とコンタクトをとるのです。郡上では下駄は聖なる履物でもあります。柏手をうつがごとく、場を清めるものでもあると思ってください。」

何度も郡上おどりにこられている方でもなかなか知る機会がない話。これを知っていると、郡上おどりがよりディープに感じられるのではないでしょうか?ぜひ、会場を見渡してみてくださいね。次は、「郡上おどりクイズ」に進みます。